基本味?初めて聞くと何となくわかるけど実際は少しわかりにくいですよね。ここではそんな基本味について解説しています。
基本味の5つはほかのどの味を組み合わせても同じようなものを作り出せない独立した味のことです。その5つは甘味、酸味、塩味、苦味、うま味です。この5つは単に独立した味というわけではなく体にとってとても重要な役割があります。
代表食材 | 体への役割 | |
---|---|---|
甘味 | 砂糖、はちみつ | エネルギー源が体に入るお知らせ |
酸味 | レモン、酢 | 腐ったものを食べないようするお知らせ |
塩味 | 塩 | 体に必要なミネラル |
苦味 | コーヒー、ゴーヤ | 体に良くないものが入らないようにお知らせ |
うま味 | トマト、かつお節、しいたけ | 唾液、消化液 |
さらにうま味は美味しい料理には欠かせない基本味であることがわかります。
基本味の役割をしっかりと理解すればあなたの料理がより一層おいしくなりますよ。
1.基本味とは
基本味とは独立した5つの味(甘味、酸味、塩味、苦味、うま味)のことです。人間にとって5つの基本味を感じることは、おいしさを感じるためだけでなく、危険な食べ物を避けたり、安全に栄養素を摂取するためにとても重要といえます。例えば、酸味(酸っぱい)を感じることで腐敗した食べ物にきがつくことができます。基本味にはそれぞれ役割があります。
ちなみに、辛味は基本味には入っていません。辛いと感じた時、それは味を感じているのではなく、痛みを感じているのです。痛みと食材の持つ味を複合して辛味を感じているといえます。
1–1.甘味
読み方 | 味物質 | 味 | |
---|---|---|---|
甘味 | あまみ | ショ糖 果糖 ブドウ糖 | あまい |
甘いと感じる甘味は体にエネルギー源が入ってくることを知らせます。体がエネルギー不足をかんじていたら積極的に吸収しようとします。疲れた時、無性に甘いものを食べたくなりませんか?それは体にとって甘いものが体に必要なエネルギー源であることを知っているからです。
1–2.酸味
読み方 | 味物質 | 味 | |
---|---|---|---|
酸味 | さんみ | クエン酸 酢酸 乳酸 | すっぱい |
酸っぱいと感じる酸味は腐っている食べ物を体内に入れないようにすることができますが、そのほかにもいろいろな効果があります。酸っぱいものをイメージするとついつい口をつぼめたり、知らないうちに唾液が口いっぱいに広がったりしませんか?その動きは腐ったものを食べないようにしたい体のサインなのです。ちなみに酸っぱいものを食べてむせてしまうのも同様の働きです。しかし、酸っぱいものがすべて悪いかというとそうではありません。酸味の代表であるクエン酸には鉄分の吸収を助ける働きと、疲労回復の効果があります。酢酸には抗菌作用があり、食中毒を防ぐ役割があります。
①クエン酸
たくさん汗をかいたときにはミネラルが失われています。熱中症対策として塩飴などがありますが、パッケージをよく見るとレモンの絵がかいてあります。なぜかというとミネラルの吸収をクエン酸が助けてくれるからです。塩レモンは熱中症対策に有効です。加えて疲労回復効果としてのクエン酸はエネルギー不足を助けてくれます。はちみつレモンは効果的な疲労回復アイテムといえます。
②酢酸
酢酸には抗菌作用があります。酢の物にすると少し長持ちするとか、寿司に酢飯を使うということで意識せずに食卓で活躍しています。酢酸にはほかにも体内に入ると消化をゆっくりにして血糖値が急に上がらないようにする働きのある物質(コレシストキニン)の分泌させたり、アデノシンという血管を広げ、血圧を下げる物質の生成に関わっています。
1–3.塩味
読み方 | 味物質 | 味 | |
---|---|---|---|
塩味 | えんみ | 塩化ナトリウム | しょっぱい |
塩味は「えんみ」と呼びます。しおあじとも読めますが、基本味の表現ですとえんみが適切です。おもに塩化ナトリウムから得られる味のことです。しょっぱい、塩辛いなどという言葉で表現されています。味を感じるメカニズムはまだわからないことが多いですが、とても身近な味覚といえます。体内では塩化物イオンとナトリウムイオンに分かれそれぞれが体にとって消化を助けたり、栄養を吸収するために重要な役割を果たしています。熱中症対策として経口補水液というものがありますが、これはナトリウムを多く含む飲料です。スポーツドリンクの2倍から5倍のナトリウムを含んでいて、効率よくナトリウムを摂取することができます。経口補水液は飲んでみるとかなりしょっぱい!食塩が普段飲んでいる飲み物よりも2倍以上入っているからです(そのぶん糖分が少ない)。熱中症やひどい下痢などの強い脱水症状のときには塩味を含む食材が不可欠となります。
1–4.苦味
読み方 | 味物質 | 味 | |
---|---|---|---|
苦味 | にがみ | カフェイン アルカロイド | にがい |
苦味は本能的に毒をさけるという意味で存在しています。コーヒーのカフェインやゴーヤのモモルデシンなどが苦味を感じさせる物質です。大人よりも子供のほうが苦味を感じやすくなっているのは毒かどうか経験から判断できないからでしょうか。ゴーヤやピーマンなど子供があまり得意でないものは子供にとって苦すぎるのかもしれません。役割の特性上、かなり少ない苦味成分でも感じることができます。苦味を感じることは意外なところで活用されています。世界一苦いといわれているデナトニウムという物質がおもちゃにごくごく微量ですが塗布されているといいます。これは子供がおもちゃを誤って口に入れてしまった時に強烈な苦みを感じて吐き出すことがねらいです。
とはいえ、大人になるとコーヒー、ゴーヤなど好む人が多くなりますよね。これは経験を重ね、コーヒーなどが安全だということがわかり、なおかつ苦み成分であるカフェインの効果(疲労感を抑える)を知ったことによります。
1–5.うま味
読み方 | 味物質 | 味 | |
---|---|---|---|
うま味 | うまみ | グルタミン酸 | 味物質によって 異なる |
うま味はたんぱく質が体内に入ったことを知らせる役割があります。うま味を感じることで唾液や消化液が分泌されてたんぱく質の消化をスムーズに行うことができます。うま味が定義されたのは100年前の話です。他の基本味からするとかなり最近の出来事といえます。うま味を感じさせる成分はグルタミン酸やイノシン酸、グアニル酸などがあります。特にグルタミン酸はうま味調味料として広く使われています。うま味とはどんな味ということになるとなかなか表現しづらいことがあります。
①うま味の特徴
うま味成分をもつ食材を食べると
・舌全体に広がる
・持続性がある
・唾液が出てくる
という特徴があります。これがうま味の特徴といえます。
舌全体に広がるというのは、舌全体にうま味を感じる部分があり、舌を包み込むような味があるということです。そしてその味は後味としてやさしく口の中に広がり続けます。うま味の強いだしを飲むと口の中でうま味が残り、ついついもう一口が進んでしまうわけです。最後に、唾液の分泌が促されます。唾液は食べたい気持ちの信号にもなり、食欲が湧いてきます。
②うま味の相乗効果
うま味には相乗効果があります。先ほどグルタミン酸・イノシン酸・グアニル酸を紹介しましたが異なるうま味成分が混ざることでうま味の感じ方が強くなります。うま味の相乗効果のリンク
このことはうま味が定義されるより大昔から体感的に知られていることです。その証拠にうま味の相乗効果を生かした料理が世界中で現在も活躍しています。日本では昆布とかつおの組み合わせ・・・だし、中国では鶏肉とねぎや生姜・・・湯、ヨーロッパでは野菜と牛肉・・・ブイヨンのスープがあります。これらはうま味を知らなかった時代から合わせて使われています。
2.組み合わせて効果のある基本味
隠し味の秘密は基本味の組み合わせにあります。よく隠し味として食塩や砂糖などを少し加えることがありますがこれは基本味の組み合わせによる特徴を生かした使い方といえます。ただし、加える調味料は少なめがおすすめです。隠し味が表に出ると、料理の味を悪くしてしまうからです。隠れてこその隠し味、そのことさえ押さえておけば基本味を理解した料理が楽しめます。
2–1 対比効果
対比効果とは、異なる味を組み合わせることでどちらか1方、もしくは両方の味を強く感じさせることです。
①甘味+塩味で甘さを強調
わかりやすい例はスイカに塩をかけることです。ほんの少しの塩で甘さが引き立ちます。塩キャラメルなども同様の効果を狙っています。
②うま味+塩味でだしを強調
うま味はおもにだしから感じますが、ほんの少し食塩を振るだけでうま味を感じやすくなります。お味噌汁の味が薄いなと感じたら、味噌を足すのではなくほんのひとつまみの食塩を入れてみましょう。だしの味を強く感じることができるため美味しくなるのはもちろん、結果的に減塩につながります。うま味と塩のリンク
2–2 抑制効果
対比効果とは反対に味を弱める効果のことです。
①苦味+甘味で苦味を抑制
ブラックコーヒーに砂糖を入れるのが一例です。苦味が得意ではない方はそうしていると思いますが砂糖によって苦味を抑制しています。
②酸味+甘味で酸味をやわらかに
レモンは酸っぱくてそのままではなかなか食べづらいですが砂糖やはちみつを加えることで食べやすくなります。これも抑制効果の一つといえます。
3.まとめ
基本味には人間が生きていくために必要な情報を味覚から感じる重要な役割があります。基本味を理解したうえで生活すると感じる味に対して敏感になるでしょう。また、対比効果などはまさにキッチンで活躍すること間違いなしなので活用してみてはいかがでしょうか。
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