板前ってどんな仕事?元板前が経験した板前になるための6ステップ

板前っていったいどんな仕事?

日本料理屋さんや和食料理店にいくと板前さんがカウンター越しからにこやかに出迎えてくれますよね。

注文を受けた板前さんは手際よく料理を作ってお客さんに提供していきますが、カウンターの奥でも板前さんが料理を忙しそうに作っています。

でも、そもそも板前さんって全体的にどんな仕事をしているのかなかなか分からないし、カウンター越しにいるから板前さんで、奥で料理しているのは板前さんというのか・・・

板前は職人と呼び方が違うけど何が違うのか・・・

など案外分からないことが多いと感じませんか。

ここでは元板前で料亭でも修業した経験がある私が、板前の呼び方の違いと板前の仕事内容についてお話しします。


1.板前と職人の違い

“板前”とは、まな板の前で様々な日本料理・和食を作るプロのことで、西洋料理全般の料理人をコックというのに対し、日本料理全般を専門にしている料理人のことを総称して板前と言います。

板前と呼ばれるには、和食の全ての知識・技術を備え、実力ある料理人のことをいいます。

このため、板前になるために修業をしている人は板前さんとは呼ばれず、板前の作業の一部分を裏でこなすため裏方さんなどと呼ばれます。

 “職人”とは、寿司職人と言われるように一つの料理に特化した調理の仕事をするプロのことです。まな板の前で寿司を握っているので板前といっても問題ありませんが、日本料理全般を作るというよりも寿司に特化した仕事なので、寿司職人と呼ばれます。そば店の料理人を“そば職人”“そば打ち職人”と呼ぶのと同じ解釈です。

板前に似た言葉で

“板場(いたば)”
関西地方では、カウンター越しのまな板の前で刺身などの料理を作る料理人のことを板場ともいいます。板のある場所なので板場と呼ばれていますが、板場の前にいる料理人を指すこともあります。板場はカウンター越しのお客様の接客などもおこなうため、和食料理の現場では重要なポジションとされます。

“板長(いたちょう)“
板前の長。お店の板前を束ねる調理現場の責任者のことです。板場でも触れたようにカウンター越しで接客をする重要性もあることからお客様に一番近い位置にいる料理人が板長であることが多いです。

※“花板(はないた)”や“立板(たていた)”も板長と同じ意味合いです。

“次板(つぎいた)”
副料理長のことを次板といいます。また、脇板(わきいた)とも呼ばれることがあります。


2.板前になるためのステップ

板前の仕事は料理を作ることだけではありません。

お店にもよりますが、いくつかのステップを踏む必要があります。

板前になるためには和食の全ての知識・技術を備えるため、以下の様な仕事を習得しなければなりません。

①追い回し
②八寸場
③揚げ場
④焼き場
⑤蒸し場
⑥刺し場

2-1 追い回し(おいまわし)

料理をすることはほとんどありません。

板前の修業はこの追い回しから始まります。

追い回しとは仕事中の雑用を主に担当し、常に追い回されるように作業をこなすことから、追い回しと呼ばれます。追い回しは掃除や買い出し、食器洗いなどをおこなうのですが、この追い回しの期間に料理人としての気遣いや衛生管理・包丁を使ったお刺身に使用する大根の桂剥きなどを勉強していきます。

私が追い回しをしていたとき、あまりに忙しいため食事をゆっくりと取る事もできず、食事は立ったまま頂いたものでした。食事は先輩から順次、頂いていくため、もちろん一番最後。一日の仕事の中で動きとめることが出来るのはこの食事の時間だけでした。

2-2 八寸場(はっすんば)

八寸とは約24cm四方の杉で作った盆のことです。

八寸場とは、この盆に料理をもってお客様に提供した会席料理からなぞらえており、今日では先付け・前菜のことを指しています。

この八寸場は、盛り付け作業をおこないます。

先輩や料理長の盛り付け見本に従い、盛り付けの基本的な色彩感覚を養います。

この八寸場の盛り付けを担当するようになると食材には様々な色彩があることに気付かされます。

例えば柑橘類にも熟す前の色と熟した色・その中間というように季節によっても違いがあるため、同じ食材を八寸に盛り付ける場合でも毎回位置が同じという訳ではないのです。

2-3 揚げ場(あげば)

揚げ場とは揚げ物類を担当します。

天ぷらや空揚げを作るのですが、常に油の火加減を気にしながらの調理となります。

料理は素材の味を引き出すことが重要ですので、素材ごとの加熱温度とスピードを意識しながらの作業となります。

揚げ場は油を使うので、飛び跳ねた油で火傷をするリスクがあります。

このため揚げ場担当になると作業着をしっかりと着用する大事さを痛感するようになります。

2-4 焼き場(やきば)

焼き場は焼き物全般を担当します。

魚はもちろん、肉や野菜も取り扱うのですが、綺麗な焼き目は料理の美味しさを引き立たせます。

焼き場で使用する“火”はガスばかりでなく炭火を使うこともあるため、素材が持つ水分をみながら綺麗な焼き目を付けていきます。

2-5 蒸し場(むしば)

蒸し場は蒸し物を担当するほかに「味付け」を担う重要なポジションです。

蒸し場担当者はすべての味付けをチェックしますので、椀物・蒸し物・煮物も担当します。

味付け担当は、そのお店の味を決めてしまいますので、お店によっては板前よりも重要視されることもあります。

2-6 刺し場(さしば)

カウンターがあるお店では、この刺し場を担当する料理人が板前・板場と呼ばれます。

刺し場の担当は刺身を切ること。

刺身を切るというと簡単に聞こえますが、刺身はそのまま口に入れますので、切り方ひとつで味の違いが大きく出てしまいます。蒸し場の担当者同様にお店の善し悪しを決めてしまう刺し場(板前・板場)はお店にとって重要な位置にあります。

また、カウンターの前のお客様の食事の進み具合のチェックやお客様をもてなす会話など、料理以外の心配りも重要な仕事となります。

板前の仕事は基本的にステップアップ性です。

早く仕事を覚えて次の段階に進みたいと感じますが、次の仕事にステップアップするのは板長などが許可した場合にしかすすめません。

私が勤めていたお店では、次の作業を手伝うことや食材に触る事はできませんでした。

ですので、次のステップに進む許可が出た時は本当に嬉しいと感じました。


3.板前に必要な資格

板前と呼ばれるためには、調理の技術の他に調理師免許が必要です。

いくら日本料理の知識・技術があっても調理師の免許がなければ、板前にはなれません。

調理師免許の取得方法は以下の2通り、

①厚生労働大臣の指定する調理師養成施設に1年以上通って卒業する。
②多人数に調理した飲食物を提供する施設や飲食店で、厚生労働省の定める調理の実務経験を2年以上積んだ上で、都道府県知事が実施する調理師試験に合格する。

いずれも調理施設での実技を経験した人が試験の対象者となります。

私は②で試験を受けましたが、①の調理師養成施設(調理師学校)を卒業したのち、日本料理店に勤務することが多いようです。

②では実務経験2年以上となっていますので、板前修業中でも試験を受けることが出来ます。

 


4.まとめ

板前とは、まな板の前で様々な日本料理・和食を作るプロのことで、日本料理全般を専門にしている料理人のことです。

和食を提供しているお店や日本料理店で料理を作る人を全て板前と言ってしまうことがありますが、板前とは和食の様々な知識と客席や調理場全体の気配りができる料理人に使われます。

外食に行かれる際は美味しい料理だけではなく、カウンターの前に立つ板前さんの心配りにも注目してください。

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