えっと~、あの人、うーん、髪が長い、CMに出てる、なんてCMだっけ?最近、なかなか人の名前も、固有名詞も出てこない…なんてことありませんか?
そんなあなたに、もしかしたらグルタミン酸が効くかもしれません。
うま味の成分として有名な、グルタミン酸。実は、極めて多様な機能を持つアミノ酸なのです。
そんなグルタミン酸の効果をご紹介します。
※注意
「グルタミン」と「グルタミン酸」は同じアミノ酸ですが、役割が違います。例えば、筋肉に効果的といわれるのは、グルタミンです。今回は、「グルタミン酸」についてご紹介します。
目次
1.グルタミン酸の5つの効果
1-1.脳の活性化
グルタミン酸により脳が活性化され、記憶力や集中力アップ効果的といわれています。
認知症の予防効果にも期待されています。
グルタミン酸は、脳では主要な神経伝達物質のひとつです。神経伝達物質のうち、興奮性の物質が「グルタミン酸」。その反対の役割、抑制性の物質が「GABA(ギャバ)」です。GABAはグルタミン酸から生成されます。
グルタミン酸は、脳のエネルギー源として使われていますので、栄養不足の脳を助けて、記憶力をアップさせてくれるのかもしれませんね。
グルタミン酸が減少するとアルツハイマー型認知症や統合失調症になりやすいとの報告もあります。
~グルタミン酸を高齢者に経口摂取した例をご紹介します~
入院中の高齢者を対象に行った例です。
病院食は、グルタミン酸濃度が、通常の半分程度であるとの調査結果だったため、グルタミン酸を食事に添加する形で高齢者の入院患者に投与ことにしました。
結果の判定は30日、60日に血液検査およびビデオ画像の行動観察による主観的評価方法で行われました。
血液検査では血中リンパ球の増加、血清亜鉛値の上昇が有意位に認められ、画像による主観的評価では、認知スコア、食行動、意欲の表現、言葉による意思疎通の向上が確認されました。
多く摂取しすぎると興奮性の神経物質ということもあり、神経が過剰に興奮するてんかん発作の原因になるとも考えられています。
このようなか、過剰摂取には注意が必要でしょう。
脳は血液から栄養を吸収しますが、食べ物から摂取(経口摂取)しても、脳に直に届かないともいわれています。
しなしながら、グルタミン酸は脳に必要な GABA(ギャバ)の元となったり、さまざまな物質に代わります。
高齢者の入院患者への、食事に添加して与えた例など、まったく無関係とは言い難いものです。
このような点から、グルタミン酸には、脳を活性や、認知症の予防効果が期待されます。
参考:
ヒト脳をモニタリングする〜MRIを用いてグルタミン酸とGABAを測る〜|国環研ニュース 25巻|国立環境研究所
グルタミン酸、脳に不可欠な食品:世界の最新健康・栄養ニュース
記憶を整理する大脳シナプスの運動を発見 /東京大学大学院医学系研究科 河西研究室
「うま味の基礎研究から高齢者のQOL改善への利用」/日経BP社 FoodScience の記事
1-2.胃の調子を整える効果
グルタミン酸には、胃の調子を整える効果があると言われています。
グルタミン酸が胃に入ると消化吸収がスムーズになります。うま味成分であるグルタミン酸。このうま味を、舌だけでなく、「胃」も感じるのだそうです。
動物を使った実験で、グルタミン酸によって消化が促進されるとわかってきました。
グルタミン酸の受容体は、胃酸や消化酵素などの分泌を抑制するホルモンを作り出す細胞(ソマトスタチン細胞)に豊富に存在しています。
胃酸などで胃が荒れないよう、このホルモンが分泌にブレーキをかけています。しかし、食事などからグルタミン酸をとった場合に、このホルモンの分泌が抑えられると考えられ、消化が促進される仕組みがあるようなのです。
つまり、うま味のグルタミン酸が、胃に入ってくると、胃が「おいしい~」と感じ、消化が進み、胃の調子を整えます。
参考:味の素の研究報告より
1-3.脂肪の蓄積を抑制する効果・効能
グルタミン酸には脂肪の蓄積を抑制する効果・効能が期待されています。
動物を用いた実験で、普通の飲料を摂取した場合と比べ、グルタミン酸を摂取することで、皮下脂肪量、内臓脂肪量および血中レプチン量がそれぞれに低下しました。
このことは、肥満の抑制や、体脂肪蓄積を抑えられるという結果につながります。
うま味をとりながら、上手にダイエットできたらうれしいですね。
1-4.血圧を下げる
米ノースウェスタン大学Jeremiah Stamler博士によって植物性蛋白(たんぱく)に最も多く含まれるアミノ酸の1つであるグルタミン酸によって血圧が降下することわかりました。
日本、中国、米国、英国での4,680人を対象とした食事に関する研究データを分析した結果、食事による蛋白質の総摂取量に占めるグルタミン酸摂取が 4.72%高いと、最大血圧が1.5~3ポイント、最小血圧が1~1.6ポイント低いことが示されました。
ただし、血圧に良い作用をもたらすとされる一方、肥満や、塩分、アルコール、カリウムの高摂取についても検討しなければならないとしています。
上記の研究データから、グルタミン酸によって血圧を下げる効果があることがわかりました。
参考:米医学誌 「Circulation(循環器)」オンライン版
1-5.ストレスから身体を守る
グルタミン酸は、リラックス効果をもたらします。
リラックス効果のあるGABA(ギャバ)。GABAといえばチョコレートですが、グルタミン酸もGABAを生成します。GABAには、脳の興奮を鎮める働きがあり、リラックス効果をもたらします。
脳の活性化でも紹介しましたが、「グルタミン酸」は興奮性の物質であり、その反対の役割、抑制性の物質が「GABA(γ-アミノ酪酸)」です。
グルタミン酸で、興奮した脳を、同じくグルタミン酸から生成されたGABAで抑えるのす。
それが、リラックスにつながることになります。
参考:生物工学会誌 第85巻 第12号 521–526.2007
2.グルタミン酸の取り方
2-1.グルタミン酸を多く含む食品
グルタミン酸を多く含む食品をご紹介します。
グルタミン酸は、様々な食品に入っています。中でも多いのが、だしの元、「昆布」です。
昆布の中でも、「羅臼昆布」が一番多いです。
野菜の中では、トマトも多いです。
特にドライトマトは、650〜 1140と、昆布には及ばないものの、毎日の食卓に取り入れたい野菜の1つですね。
他には、チーズの中の「パルミジャーノ」、干し椎茸も含有量が多いです。
醤油や味噌にも多く含まれますが、調味料はそんなに多くは取れませんね。
また、昆布程ではないですが、お茶にも含まれます。
単位(mg/100g)
食品分類 | 食品 | 含有量 |
---|---|---|
海藻 | 羅臼昆布 | 2290〜3380 |
真昆布 | 1610〜3200 | |
利尻昆布 | 1490〜1980 | |
日高昆布 | 1260〜1340 | |
海苔 | 550~1350 | |
わかめ | 2~50 | |
お茶 | 緑茶の茶葉 | 220〜670 |
野菜・豆・いも | トマト | 150〜250 |
ドライトマト | 650〜 1140 | |
グリーンピース | 110 | |
れんこん | 100 | |
にんにく | 100 | |
とうもろこし | 70〜110 | |
大豆 | 70〜80 | |
そら豆 | 60〜80 | |
白菜 | 40〜90 | |
じゃがいも | 30〜100 | |
きのこ | 干し椎茸 | 1060 |
椎茸 | 70 | |
ほんしめじ | 140 | |
えのきだけ | 90 | |
マッシュルーム | 40~110 | |
トリュフ | 60~80 | |
魚介 | ほたて | 140 |
くるまえび | 120 | |
うに | 100 | |
あさり | 90 | |
煮干し | 40〜50 | |
かつお節 | 30〜40 | |
乳製品 | パルミジャーノ・レッジャーノ (パルメザンチーズ) | 1200〜1680 |
エメンタールチーズ | 310 | |
発酵食品 | 納豆 | 140 |
ナンプラ | 950 | |
オイスターソース | 900 | |
しょうゆ | 400~1700 | |
味噌(みそ) | 200~700 |
参考:うま味インフォメーションセンター
2-2.グルタミン酸と摂取量
グルタミン酸を通常の食事で摂取する場合、過剰になることはないといわれています。
しかし、多く摂取しすぎると興奮性の神経物質ということもあり、神経が過剰に興奮するてんかん発作の原因になるとも考えられています。
サプリメント等で取る場合は過剰摂取にならないよう注意が必要です。
2-3.お手軽!昆布のグルタミン酸をまるごと食べる、昆布の佃煮の作り方
昆布のグルタミン酸をまるごと摂取できるレシピを紹介します。
簡単にきて、保存がききますので、ごはんのお供にどうぞ。

<用意するもの>
- 刻み昆布(乾燥) 20g
- 水 1カップ
- いりごま(白) 大さじ1
- 調味料:
酒 50cc
砂糖 大さじ2
みりん 大さじ2
醤油 大さじ3と半分
酢 小さじ1
<手順>
■その1
昆布をたっぷりの水に5~10分つけて戻し、水を切ります。
■その2
鍋に昆布と分量の水と調味料を加え、ひと煮立ちしたら、弱めの中火にして、さらに15分程度、煮ます。
■その3
煮汁が少なくなったら、少し火を強めにして、汁気がなくなるまで煮て火を止めます。
■その4
白ごまをまぜて完成です
<保存期間>
冷まして、清潔なタッパーに移し、冷蔵庫に入れておけば1週間~2週間程度もちます。
※期間に関わらず、できるだけ早めに、消費するように心がけてください。(味付けは、塩辛かったり甘辛さが強いほうが日持ちします)
3.さいごに
いかがですか?
脳の活性、胃の調子を整える、ダイエット効果、血圧を下げる、ストレス対策などなど。
グルタミン酸の効果は、多様ですね!
私は、最近、昨日のお昼ごはんが何だったのかも、忘れがちなので、記憶力が少しでも良くなればうれしいです。昆布の佃煮は、簡単でおいしく、ごはんがすすむので、毎日少しずつグルタミン酸を取っています。
あなたは、どの効果が気になりましたか?
気になる効果があったら、是非、一緒に試してみましょう!
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