火加減の調節は簡単なようで意外と難しいですね。
例えば、レシピに「強火で炒めてください」と書いてあったらどうしますか。強火とは、必ずしもコンロのつまみの目盛を最大にしたところとは限らないのです。同じく、中火とは、コンロの目盛の真ん中とは限りません。
鍋やフライパンの底に炎がどう当たっているのかで判断します。
強火は、コンロの炎が鍋やフライパンの底に勢いよく当たっている状態です。炎が大きく広がり底全体を熱しています。短時間で食材に火を通したい、野菜やご飯の食感にシャキシャキ感やパラパラ感を残して仕上げたい時に強火を使います。
中火は、炎が底にちょうど届くくらいの状態です。底全体より一回り小さい面積を熱しています。厚みのある食材(ハンバーグや煮物なら根菜類など)の中までしっかり火を通したい時に中火を使います。
弱火は、炎が底に届くか届かないかくらいの状態です。底の中心部分だけを熱しています。長時間かけて食材にじっくり味を染み込ませたい時に弱火を使います。
このように強火、中火、弱火、更にはとろ火を見分ける目安と、それらを使うのは食材をどんな風にしたい時なのかをお伝えします。
ざっくり把握するために、まず下の表をご覧ください。
| 炎の大きさ | 食材の状態 | 使う場面 |
強火 | 調理器具の底に勢いよく当たっている。炎が大きく広がり、底全体を熱している。 | 湯の中で活発に動く。 | 短時間で食材に火を通したいとき。 野菜にシャキシャキ感、ご飯にパラパラ感を残して仕上げたいとき。 |
中火 | 料理器具の底にちょうど届くくらいの状態。底全体より一回り小さい面積を熱している。 | 少し動く。 | 厚みのある食材の中までしっかり火を通したいとき。 |
弱火 | 調理器具の底に届くか届かないかという状態。底の中心部だけを熱している。 | ほとんど動かない。 | 食材にじっくりと味を染み込ませたいとき。 |
とろ火 | 炎が消えるか消えないかという状態。調理器具の底に炎は届いていない。 | 動かない。 | 保温や温め直すとき。 だし取りに厚削りを使うとき。 |
目次
1. 強火
1-1 炎の大きさ
強火は、コンロの炎が鍋やフライパンの底に勢いよく当たっている状態です。炎が大きく広がり底全体を熱しています。
1-2 食材の状態
強火にかけられたお湯はグラグラ煮立ち、食材はお湯の中で活発に動きます。
うどんやそばの乾麺を強火で茹でている時が分かりやすいです。麺がお湯の中でぐるぐる回っているのを見たことがある方は多いと思います。
1-3 強火を使うのはどんな時か
短時間で食材に火を通したいとき。
野菜にシャキシャキ感を、ご飯(チャーハン)にパラパラ感を残して仕上げたいとき。
具体的には
①何も入っていない水を沸騰させる
沸騰したお湯に食材を入れて料理する場合、沸騰させるまでは食材の状態を気にする必要はないので、最短で沸騰させられる強火を使います。
②葉物野菜を湯がく
あくを抜くことが目的で、強火にかけたお湯に入れ、時間は短時間(1分程度)にすることで食材をふにゃふにゃにしないでシャキッとした食感を残せます。
③野菜炒めやチャーハンなどの炒め物の最終段階で
炒め物、中華料理は強火というイメージが強いです。しかし家庭では、料理人のような鍋振りの技術もありませんし、中華料理店のような超強火にもできません。なので、初めは焦げないように弱火から中火で炒めて、最後だけ短時間強火で炒めることにより、野菜炒めならシャキシャキ感を、チャーハンならパラパラ感を出すことができます。
いずれにしても、「強火は短時間で」と覚えておくと焦がしてしまう失敗がなくなります。
2. 中火
2-1 炎の大きさ
中火は、コンロの炎が鍋やフライパンの底にちょうど届くくらいの状態です。底全体より一回り小さい面積を熱しています。
2-2 食材の状態
煮物の汁がフツフツと煮立ち、汁の中で食材が少し動きます。
2-3 中火を使うのはどんな時か
厚みのある食材に中までしっかりと火を通したいとき。肉ならハンバーグとか、野菜なら大根やゴボウなどの根菜類は葉物野菜より厚みがあるので、中まで火を通すためには弱火よりは強い中火を使う方が適しています。
具体的には
①レシピに火加減の指定がない時
火加減の指定がなければ、中火を使うのが無難です。
②肉じゃがや、大根、ゴボウ、かぼちゃの煮物
じっくりと味を染み込ませる料理ですが、じゃがいもやカボチャといった厚みのある食材であるため、弱火よりは強めの火加減の中火を使うと良いです。
③ハンバーグ
バラ肉よりも厚みがあります。強火では中まで火が通る前に外側が焦げてしまします。弱火では、中まで火が通りにくい、もしくは時間がかかりすぎてしまいます。中火でフライパンに蓋をして熱が逃げないようにして中まで火を通します。
3. 弱火
3-1 炎の大きさ
弱火は、炎が鍋やフライパンの底に届くか届かないかという状態。炎に勢いがなく、底の中心部だけを熱している状態です。
3-2 食材の状態
煮物の汁がポツポツする程度で、中の食材はほとんど動きません。
3-3 弱火を使うのはどんな時か
食材にじっくりと味を染み込ませたいとき。
煮物で食材に汁の味を染み込ませたい時に、食材に急激な強い変化を与えないように弱火で長い時間煮込むのが適しています。
具体的には
①具材が葉物野菜や根菜類でも薄く切ったものを使う煮物
白菜やほうれん草など元々厚みがない葉物野菜や、2章の中火でお勧めした根菜類も薄く、または小さく切ったときは弱火でも中まで火を通せます。そういう場合は弱火で長時間じっくりと煮汁を食材に染み込ませると美味しくなりますね。
②カレーやシチュー
①と同じ理由で弱火で煮込むのが適しています。
4. とろ火
4-1 炎の大きさ
とろ火は、弱火よりもっと炎の大きさが小さい状態。火が消えるか消えないかといった大きさです。炎は鍋やフライパンの底に届いていない状態です。
4-2 食材の状態
汁の中の食材は動きません。
4-3 とろ火を使うのはどんな時か
調理をするときと言うより、1度出来上がった料理を保温や温め直すとき。
具体的には
①出来上がっている煮物の汁を蒸発させずに温め直す時
②厚削りを使ってダシを取るとき(薄削りを使う時は完全に火を止めます)
5. IHを使った場合の火加減の調整
IHを使う場合は、単純にその目盛に従います。
IHでは、1~4章の各1でお伝えしたような調理器具の底の大きさと炎の大きさを比較して目視で確かめることは出来ません。上に置いた調理器具の底の面積だけに熱を伝えるようになっていますから、危険や電気の無駄にはならないようにできています。
強火~とろ火と目盛の関係もその製品によりますので取扱説明書で確認しましょう。
一般的には、10段階で7~9(1000~2000W)くらいが強火、4~5(500~1000W)くらいが中火、2~3(300~500W)くらいが弱火、1~2(200~300W)がとろ火の目安です。
6. まとめ
いかがでしたか。強火だからといって、コンロの目盛を全開にしたものとは限らないですね。調理器具の底と炎の大きさに注目しましょう。
また、基本的には強火はさっと短時間で、中火から特に弱火、とろ火はじっくり長時間で、と覚えておきましょう。きっと、食材を焦がしたり、反対に生煮えにしてしまうことがなくなりますよ。
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