鰹節削り節メーカーから見た鰹節だしの取り方・避けるべき注意点

鰹節だし

鰹節だしは鰹節の削り節から作ります。

薄く削られた花かつおや厚く削った厚削りどれでも鰹節だしが作れます。

作り方は簡単です。
お湯を沸かして、鰹節を入れ、時間なったら、鰹節を取り除けば、鰹節だしが完成となります。

 花かつおの加熱時間は10分で、さらに3分間静置します。
 厚削りの加熱時間は15分、さらに3分間静置となります。

鰹節だしの取り方や素材と水の配合は、料理をする人や作る料理によって異なりますが、
ここでは、鰹節を入れた後に、弱火で加熱することで鰹節のうま味が最大限取り出せる煮出し方法を紹介します。


1、鰹節削り節を使った鰹節だしの取り方

 花かつおと厚削り節を使った鰹節だしの取り方は同じです。沸騰したお湯に鰹節削り節を投入、加熱します。そのあと、3分間静置して、鰹節を濾せば完成です。この方法は、加熱することにより鰹節のうま味成分がほぼ完全に溶け出すことができます。

1-1、水と鰹節の量

 水に対して3~4%の鰹節を用意しましょう。
 3人分の味噌汁のだしが欲しい場合は、1000㏄の水に40gの鰹節を用意すれば良いです。

 <3人分の味噌汁を作る場合の目安>
 水 …1000cc
 花かつお…40g

 ただし、だしを取る過程で水分が抜けていきますので1000ccの水でだしを取った場合、700㏄前後のだしが出来上がることになります。出来上がるだしの量は用意した水の7~8割程度と覚えておきましょう。

1-2、 作り方

1-2-1、水を測って、鍋へ

鍋に1000㏄水を入れて、沸かしていきます。鍋に目盛りがあれば、合わせて測って下さい。鍋に目盛りがなければ、計量カップやペットボトルを使って、測って入れてください。口が広い鍋がおすすめです。それは、花かつおはふわふわしてボリューム多いので、広い鍋の方が作業しやすいからです。

1-2-2、鰹節を用意

 40gを用意します。

1-2-3、鰹節を入れる

 水を沸かしたら弱火にし、鰹節を入れます。ここでは、鰹節を触らないで下さい。菜箸やお玉で混ぜたり、鰹節を押さえたりすると、雑味やえぐみが出でしまうのです。花かつおを沈ませたい場合、鍋ごとにゆっくりと回して、花かつおを沈ませます。厚削りは、鍋にサイズに合わせて、なるべく水面より出ないように折ってから入れていきます。

1-2-4、一番弱い火で煮出し

 とろ火(とにかく一番弱い炎のことです)へ調整、鰹節が踊らないように、静かに10分間煮出します。鰹節は水を吸って、沈みます。厚削りの場合は、15分へ伸ばします。厚みありますので、水が浸透するのに少し時間かかります。加熱することによりで鰹節特有の「くん煙臭」などの不快な匂いを飛ばせます。

<煮出し時間の目安>
・薄削りの場合:10分間
・厚削りの場合:15分間

だし汁の表面に一箇所だけポコポコ出てくる感じが丁度良いです。わざわざ温度計必要がありません、とろ火すれば、温度は85℃前後となり、鰹節うま味成分のイノシン酸一番溶け出しやすい温度帯となります。加熱をすることにより、鰹節のうま味を最大限に取り出せます。そのため、二番だしに使い回さなくてもよいです。

 


弱火
…コンロの炎の先が鍋底にふれない程度、煮汁の表面がゆらゆらゆれる程度

とろ火…とにかく最小の炎で、煮豆やおかゆを長時間煮込む時の火加減のこと

二番だしとは、一回だしを取った鰹節などのだし原料をもう一度だしを取っただしです。その一回目のだしは、一番だしと言います。

1-2-5、余熱で鰹節のうま味成分を絞り出し

10分経過後、火を止め、3分間静置し、余熱で鰹節中にうま味成分をしっかりとだし汁へ移します。

1-2-6、鰹節を濾す

もう一つの鍋(だし入れる容器)に菜箸を横かけ置きにして、その上に水切りやザルを乗せます。水切りやザルにキッチンペーパーを引き、その上から、だしをゆっくりとかけて鰹節を濾します。だし汁が落ちてきますので、しばらく待ちます。ここでは、鰹節を押して、だし汁を絞り出したくなるですが、我慢してください。絞ると、雑味も一緒に出てきてしまいます。厚削りは、菜箸で簡単に取り除けます。

1-2-7、完成

だし汁落ちて来なくなったら、水切りやザルごとに外して完成です。

2、鰹節と昆布の合わせだしの取り方

 鰹節だけで取っただしは十分美味しいですが、昆布と一緒に合わせだしを作ると、それぞれのうま味成分が相乗効果を起こし、格別においしく感じます。

2-1、合わせだしは薄く削られた鰹節が良い

 鰹節と昆布を合わせだしは、できた昆布だしに鰹節を入れて、再度加熱してから作ります。そのため、厚く削った鰹節よりも薄く削った鰹節「花かつお」のほうが適切です。その理由は、花かつおの方がより短時間でも美味しいだしが取れるので、できた昆布だしにダメージがより少ないです。

2-2、合わせだしの水とだし素材の量

1000㏄の水で合わせだしだしを取る場合は、昆布と鰹節の合計使用量は30~40gです。
 前述のように、だし素材は水の3~4%の量にするとしっかりした味のだしが取れるので、昆布と鰹節を合わせて、水の3~4%となればよいです。そして、昆布と鰹節は1:2の比率で混ぜれば、透き通った色味で、クセがなく、少し甘みを感じる、上品な合わせだしが作れます。昆布の比例は高いと、だしが濁る傾向があります。使用量が少ないと、だしの昆布の甘みが感じにくくなり、合わせだしとして、味のバランスが崩れてしまいます。

<3人分の味噌汁を作る場合の目安>
 水  …1000㏄
 昆布 …15g
 鰹節 …25g

2-3、合わせだしの作り方

2-3-1、昆布の表面を拭く

 昆布の表面は固く絞ったキッチンペーパーなどで軽く、ホコリや汚れを取り除きます。表面に白い結晶がある場合があります。これは、昆布のうま味成分の一つです。

 

 

 

 

 

 

 

 

2-3-2、昆布は水で戻す

 水へ入り、水戻しをします。水は常温の水でよいです。

2-3-3、昆布の水戻し具合の確認方法

昆布の厚みのあるところに、爪を立てます。爪がスッと入る状態なら、水戻しできている状態です。

 

 

 

 

 

 

 

2-3-4、加熱

一気に強火で加熱、急に沸騰させても、昆布のうま味を充分に引き出すことが出来ません。中火ぐらいにして、1Lの水は10分間かけて80℃まで引き上げると、きちんと昆布のうま味成分を引き出すことができます。

中火:火の先が鍋底にあたるくらいの状態で、煮汁はブツブツ煮たちしている状態の火加減です。

2-3-5、昆布を取り除くタイミング

昆布の周りに小さい泡が出た沸騰直前で取り除く。

2-3-6、鰹節を入れる

花かつおのだし取りの手順で、花かつおを振りかけます。

2-3-7、加熱

10分間加熱、3分静置。

2-3-8、濾す

鰹節を濾し、だしを回収します。

2-3-9、完成

万能だしと言われ、どんな料理にも相性が良いです。例えば、鍋のスープやおでんです。


3,手軽な鰹節だし取り方

 美味しいのに、あっという間にできる鰹節のだし取り方法もあります。このような方法は、薄く削られた花かつおが適切です。

3-1、お湯かけて鰹節だし

 かつお節のうま味成分は「イノシン酸」や味に関与する「ヒスチジン塩」などのアミノ酸は85℃であれば、短時間でもだし汁へ溶出することができます。そのため沸かしたお湯をかけていけば、鰹節だしを取る時間と手間を減らすことができます。

3-1-1、濾し器に鰹節

 広げて詰めます。その理由は、なるべく温度が下がってないお湯を鰹節にかけたいのです。だしの中に、小さい鰹節粉末を気になるであれば、濾し器と鰹節の間に、キッチンペーパーを引けばよいです。

3-1-2、沸かしたお湯を回して掛けます。

3-1-3、だしを回収して、完成。

コツ・ポイント

お湯に浸けっぱなしにしないこと。

 お湯に漬けるほどうま味成分が出ると思いがちですが、温度の低いお湯に鰹節を長時間漬けると、湯気が発生しないため、鰹節の魚臭はだし汁に移ってしまうのです。

 この方法は、鍋で取りにくい少しの量や今すぐだしが必要な時におすすめです。大量のだしを取る場合だと鰹節も大量に使うため、お湯をかける時に温度が下げてしまう事がありますので、この方法は向いていません。

3-2、レンチンで鰹節だし

 少量のだしが欲しい場合は電子レンジでも作ることが可能です。

 3-2-1、耐熱ボールに水を測る。

 3-2-2、鰹節を入れる。

 3-2-3、電子レンジで加熱する。

  加熱時間ですが、1コップ分の水は約180㏄となり、常温(20℃前後)の水を80℃以上加熱するには、電子レンジ500Wの出力の場合は約1分半の加熱時間が必要です。そのため、2分加熱すれば、電子レンジの中で「お湯を沸かす」状態となります。「沸かしたお湯の中に鰹節」というのはだし取りの条件として成立となります。この方法は、200~300ccだけのだしが欲しい時、十分対応できます。

 3-2-4、鰹節を濾して、完成です。

 実は、いろいろな種類のだし専用のだしポットも販売されています。容器の中に、こし器がついて、鰹節をその中に詰め、水を測って入れて、レンチン後こし器ごと取り除けば、鰹節を濾す作業も完成です。

 

購入先:レンジで美味しいだし

どれもだしの味は十分出ると思います。選び方としては、口が広いほうが、使いやすいです。口が狭いと、鰹節が舞うので、入れにくいです。


4、鰹節だし取るには避けるべき3つのこと

4-1、蓋をすること

 蓋をすると、わずかですが、鰹節に不快な匂い、「くん煙臭」や「魚臭」は飛ばせないためです。ほとんどの香りやにおい成分は、熱でなくなります。鰹節だしは、香り成分と匂い成分なども含まれているため、だしを取る時の「火の加減」は非常に重要です。

4-2、冷水で鰹節だし取ること

  昆布だしと違って鰹節だしに対して、熱は重要です。昆布のうま味成分「グルタミン酸」は低温度60℃以下にしても、時間をかければ、抽出することは可能です。そのため、昆布を水に入れて、一晩冷蔵すると、昆布の水だしができます。

鰹節の場合は、うま味成分のイノシン酸は85℃の温度帯で、一番抽出しやすいです。そのため、冷水での鰹節だしは、鰹節を作る時の焙乾工程で付けられたフェノール物質分しか抽出できなくて、苦いだしとなります。

4-3、蒸らして鰹節だし取ること

 お湯を鰹節にかけた後、蓋をして、蒸らすようにする鰹だしの取り方は、風味の良いだしは取れません。先述のように、鰹節中に含まれた不快な匂いを放出しないと、だし汁に逆戻りとなり、だしに嫌な魚臭が残ってしまいます。さらに、鰹節を長時間お湯に漬けると、雑味やえぐみも出てしまいます。そのため、お湯をかけたら、素早く鰹節を取り除いた方がよいです。


5、まとめ

 鰹節だしは、鰹節の削り節で取れます。薄く削られた鰹節花かつおは、加熱10分、余熱3分;厚く削った鰹節厚削りは、加熱15分、余熱3分で鰹節だしが作れます。さらに、ドリップ式のようなお湯かけと電子レンジでも美味しい鰹節だしが作れます。

 鰹節だしの取り方、加熱時間や配合比例は人や用途によって違いますが、共通的に避けてほしい3つ注意点は、①蓋をすること、②冷水で鰹節だしを作ること、③蒸らして鰹節だしをと取ることです。

 この記事を参考にして、あなたが一番納得できる鰹節だしの作り方を見つけてください。

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