「この料理はコクがあって美味しいね!」
日常的によく使われたり、耳にすることもありますが、実際に“コク”を言葉で表して!と言われると多くの方が表現に困ってしまうのではないでしょうか。
でもコクを感じる食材はたくさんあり、チーズや生クリームなどの乳製品やワインやビールといった飲み物の美味しさの表現に“コク”が使われることがあります。
ここでは、コクってどんな味で、どんなものなのかをお話させて頂きます。
目次
1.コクとは様々な食材が複合した味わいのこと
「コクって何?」と聞かれた場合は、私はこういう風に定義しています。
「コクとは様々な食材が複合した味わいのこと」
おいしさの表現によく使われる“コク”ですが、実はしっかりとした定義や科学的な根拠はありません!
しかし、「コク」という言葉は多くの人に知られています。
「コク」は、昔から料理や食べ物を表現する言葉として使われてきましたが、最近ではテレビCMなどでも「コク」を売りにした商品が多くなってきました。
ある研究者は、コクの仮の定義として、
~コクとは~
・味の持続性があること
・味に濃厚感があること
・味に広がりがあること
このような味わいがある時にコクを感じられると仮の定義をしています。
上記のようなコクを感じるのは、単体食材の味で感じるというよりも複数の食材の味が混ざり合った結果、感じる味わいとも言えます。
また、消費者が購入意欲を感じるものとして、「旨み・コク」がある商品を購入する傾向にあるようです。
(ウーマンエキサイト様 資料引用)
そもそも「コク」という言葉は、中国で穀物が熟したことを意味する「酷」に由来す・もしくは、濃いが名詞化されて「濃く」と言われるようになったなどの諸説があり、言葉にもしっかりとした根拠を示すものがないと言われています。
現時点では、コクはしっかりとした定義や科学的根拠が定まっていないため、コクは感性の味ともいわれています。
2.“コク”があると認識する3つの要因
コクがある料理といえば、カレーやシチューが挙げられますが、スイカや酢の物などには“コクがある”との表現は使われません。
これは、カレーやシチューの様に様々な味が複合する料理にはコクが感じられ、味が複合しない酢の物の「酸味」や果物などの「甘味」には、コクは感じにくいということなのです。
2-1 コクとは複合した味のこと
人間が感じることが出来る味は、「甘味・塩味・酸味・うまみ・辛味・苦味・渋味」がありますが、「コク」は含まれていません。
しかし、私達がコクを感じることができるのは、コクは複合した味が人間の味覚として感じられるため、表現の一つとして使われているのです。
コクを感じる要素として挙げられるものに、コクを感じるのは様々な食材が持つ食味が複合した結果、味の重なりのバランスが良く感じることで味が長く感じられ(余韻)、濃厚なコクを感じることができると言われています。また、コクを感じる要素は味だけではなく、香りや食感も影響していると言われています。
ある研究者は、コクの仮の定義として、
~コクとは~
・味の持続性があること
・味に濃厚感があること
・味に広がりがあること
上記のような味わいがある時にコクを感じられると言われています。
また、味わいの他にも
・香り、風味
・食感
などもコクを感じる要因になっていると言われているのです。
2-2 コクを感じる香りの要素
香りの要素は、鼻をつまんで食べたり、飲んだりするとよく感じられます。
例えば、香りの良いコーヒーを飲むときに鼻をつまんで飲むと良くわかります。鼻をつまんでコーヒーを口に含むとコーヒーの味はするのですが、コーヒーの旨みはあまり感じられません。
これはコーヒーの香りが鼻から抜けることでコーヒーのコクと旨みが口の中に広がるのです。
一度試してみたのですが、同じコーヒーでも味わいや風味が劇的に違いますので、試してみることをお勧めします。
2-3 コクを感じる大事な食感
食感は食材の柔らかさや料理の温度でも変わってきます。
例えば、ビーフシチューに入っているお肉が固かったら、コクを感じなくなってしまうのです。
コクを感じるには、お肉からでる肉汁もコクを感じさせる複合する味の一つです。このお肉が固いということは味の複合が弱くなり、コクも弱く感じてしまうのです。
また、思考的にもお肉の固さが強調されてしまい、料理のコクを感じることが少なくなってしまうのかもしれません。
3.コクが感じられる食べ物には、先味・中味・後味がある
一般的にコクが感じられる食べ物には、
・チーズ
・生クリーム
・カレー
・マグロのトロ
・シチュー
・コーヒー
・ワイン
・ビール
など、様々な料理や飲料にコクを感じることができます。
この「コク」には3段階の味があり、
先味・・・口に含んだ瞬間の味
中味・・・食材を噛んでいる時の味
後味・・・飲み込む瞬間から飲み込んだ後の味
に分けられ、先味が強いとコクが弱く、先味が弱いとコクが広がっていきます。
例えば、濃厚なスープのラーメンを食べている時ですと、口に含んだ瞬間の先味はスープの温かさと香りが強調されており、中味で素材の旨みが感じられ、後味で旨みの余韻が長く感じられるといったところでしょうか。この旨みの余韻が長く感じられるほど、コクがあると認識するのです。
(味覚ステーション様 資料引用)
4.コクを感じるのには個人差がある
コクがあると言われる食べ物ですが、すべての人が本当にコクを感じることができるかを検証してみました。
結果は、コクを感じるのにも個人差があるということが判明しました。
調査結果から、食材によりコクをすべての人が感じるわけではないということがわかりました。
調査中に発せられた言葉には、「おいしいとは感じるが、この味がコクであるかわからない」という回答があり、コクの定義がないことが判断を迷らせる要因だと感じられました。
但し、コクであるかわからないと回答した人も「複合した味は感じられた」との感想がありました。
5.コクとキレは違う
コクは、様々な味の重なりがバランスよく感じられるとコクがあると認識されるとお話ししましたが、コクという言葉には、“キレ”という言葉も合わせて聞くことがあります。
ではこのキレとはどんなものかといいますと、「キレとは味が後を引かずにスッときえること」をさしています。
この代表格がビールです。
ビールの特徴は2種類あり、
・コクを感じるビール(エビスビール・一番搾り)
・キレを感じるビール(スーパードライ・プレミアムモルツ)
に分けることができます。
コクを感じるビールは、ビールの旨みでもある苦味が程よく余韻として残ります。
キレがあるビールは、飲み口がさっぱりしていて比較的苦味の余韻が少ないと感じられます。
しかし、この違いも個人差がありますので、ご自身でお試しすることをお勧めいたします。
6.まとめ
今のところ、コクの定義は決まっていませんが、人間の味覚はコクを感じられるようにできています。
コクを感じる要素として挙げられるものに、コクを感じるのは様々な食材が持つ食味が複合した結果、味の重なりのバランスが良く感じることで味が長く感じられ(余韻)、濃厚なコクを感じることができると言われています。
また、コクを感じる要素は味だけではなく、香りや食感も影響していると言われています。
様々な要素が複合することでコクが生まれるのですが、コクを感じるには個人差があることも“コクとは何か”の面白さかもしれません。
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