みりん風調味料と聞いて、あなたはどう思いますか。みりんに似た調味料だというくらいの認識で、詳しくは知らない方が大多数だと思います。
スーパーで買う時に、よく見てみるとみりんはラベルに「本みりん」と書いてあり、みりん風調味料には「みりん風調味料」と書いてあります。そしてその裏を見ると、原材料名が書いてあります。
この記事ではまず、みりんとの違いを原材料や製造方法、アルコール度数などの比較で明確にします。
そのうえで、結局今までみりんを使っていた料理に、みりん風調味料を使っていいの?という疑問にお答えします。その目安になるのが下の表です。
| みりん | みりん風調味料 |
① 料理につやと照りを出す | 〇 | ◎ |
② 料理にコクやうま味、風味を与える | 〇 | 〇 |
③ 食材の臭みを消す | 〇 | △ |
④ 食材の煮崩れを防止 | 〇 | △ |
みりん風調味料の値段はみりんの約半分ですから、みりんから替えられるところは替えると、多少なりとも家計の節約になりますよ。
健康面安全面についてもお伝えしますので、その点でも納得されれば、少しでも家計節約のお役に立てばと思います。
是非お読みください。
目次
1. みりんとみりん風調味料の違い(比較)
まず下の写真をご覧ください。
みりんの原材料表示です。
みりん風調味料の原材料表示です。
上の写真に示されている原材料の他、製造方法、アルコール度数などの違いを一覧表にしました。
大きな違いはアルコール度数です。
| みりん | みりん風調味料 |
原料・製法 | もち米、米こうじ、焼酎または醸造アルコール(トウキビを原料とした純度の高いアルコール)を長期間(一般的には40日くらいから1年で、なかには10年20年と熟成したものもあります。)かけて糖化、熟成して作ります。 | 米と米こうじの醸造調味料に水あめやブドウ糖などを調合して短期間でみりんの味に近づけています。アルコール分が低く保存性を高めるため酸味料グリシンを含む場合があります。 |
アルコール度数 | 約14%、酒類に分類されます。 | 1%未満、食品に分類されます。 |
値段 | 高い。写真のもの400mlで228円. | 安い。写真のもの400mlで108円。 |
2. みりん風調味料を使って料理をした方が良い場合とその理由
2-1 料理につやと照りを出したい場合
冒頭の表①の場合です。みりんは〇、みりん風調味料は◎です。
つやと照りを出す効果の要因は糖分で、みりん風調味料はみりんより糖分が高いからです。
つやと照りは、糖分が食材の表面に膜をはるから出るのです。水あめなどが調合されているみりん風調味料はみりんを上回る糖分を含んでいますので、つやと照りを出す効果はみりんを上回るのですね。
例えば照り焼きの定番である鶏の照り焼きはみりん風調味料を使った方が良いですね。
2-2 料理にコクやうま味、風味を与えたい場合
頭の表②です。みりんとみりん風調味料、両方とも〇です。いわば同点なのにみりん風調味料の方が良いというのは以下の理由からです。
誤解を恐れずに言うと、プロの料理人でもない限り区別がつかないからです。
長期間醸造して作ったみりんの方が、みりん風調味料よりも深いコクが出ると言われることもあります。しかし、本音で言って、コク、うま味、風味について、プロの料理人でもなく特に強いこだわりを持っていない一般の方が大きな違いを感じることはありません。両方をそれのみで香りをかいだり、飲んだりすれば(実際に飲んではいけませんが)違いを感じることは可能です。しかし実際の料理はみりんやみりん風調味料だけで作られている物はありません。他に醤油や砂糖、味噌など様々な調味料が混ぜ合わされた料理を前にして、これはみりんだ、これはみりん風調味料だと感じ取れる方は非常に少ないと思います。
会社の同僚にも「実際どうなの?」と、聞いてみましたら、区別つかないとの答えでした。弊社は鰹節を削って業務用削り節を製造するメーカーで、その製造部門や開発部門などダシを試飲する機会の多い(プロの料理人ほどではなくても、味に敏感である必要がある)社員でもこういう答えになります。
それならば、値段が約半分のみりん風調味料を使った方が良いですね。
4章で実際同じ料理をみりんとみりん風調味料の両方を使って作り、食べ比べてみます。
2-3 その他みりん風調味料を使った方が良い場合
・加熱しない料理、例えばサラダにかけるドレッシングや和え物です。
理由はアルコール度数が1%未満で、加熱してアルコールをとばす必要がないからです。
・小さいお子さんに出す料理
みりんを使う場合は当然アルコールをとばしますが、小さいお子さんには念のためみりん風調味料を使った方が無難です。
3. みりんを使って料理をした方が良い場合とその理由
3-1 食材の臭みを消したい場合
冒頭の表③です。みりんは〇、みりん風調味料は△です。
臭みを消す効果の要因はアルコールだからです。みりんには約14%含まれているのに対し、みりん風調味料には1%未満しか含まれていないので、食材の臭みを消したい場合はみりんを使った方が良いですね。
例えば、生魚を食材に、魚の煮つけを作る場合などです。
3-2 煮崩れを防止したい場合
冒頭の表④です。みりんは〇、みりん風調味料は△です。
みりん風調味料は料理の後半で入れた方が良いので、そもそも煮ている最中の煮崩れ防止効果は薄いのですね。
みりん風調味料を料理の後半で入れた方が良い理由は次の2点です
水あめやブドウ糖が含まれていて、糖分はみりんより高く、あまり長い時間煮込まない方が良いからです。
アルコールをとばす必要がないからです。
例えば、同じ肉じゃが(魚のような生臭さを消す必要がある食材は含まれていない料理)を作るにしても、煮崩れさせたくないと思ったらみりんを使った方が良いです。多少煮崩れしても構わないとお考えなら、約半分の値段を考えれば、みりん風調味料を使った方が良いですね。
4. 肉野菜を各々みりんとみりん風調味料を使って作り、比べてみた
場面としては2章の2、「料理に深いコクやうま味、風味を与えたい場合」に当たります。
みりんを使って作った肉野菜炒めです。
みりん風調味料を使って作った肉野菜炒めです。
つやと照り
写真で分かるように、両方とも特にキャベツによくつやと照りが出ています。
味、風味
両者に違いを感じることはありませんでした。
今回、違いを感じやすいように、みりんまたはみりん風調味料以外の調味料(醤油とコショー)を少なめにしてやや薄味で作りました。
みりん使用もみりん風調味料使用の場合も各々豚肉130g、キャベツやニンジンなどのカット野菜総計200gに対し、みりん又はみりん風調味料は大さじ3杯、醤油は大さじ2杯、コショーは2,3振りで行いました。レシピ記事ではないのでこれが正しい量かは別にして、両方を同じ条件にすること、上にも書いたようにみりん又はみりん風調味料以外の調味料を少なめにする、の2点を守り、料理しました。
その結果は、上記のように、両者の違いを感じられませんでした。
2-2でもお伝えした事ですが、実証された形です。
私は、毎日出される家庭料理は値段の事を考えあわせれば、ほとんどの場合みりん風調味料を使って良いと思います。
3章で紹介した場合(食材の臭みを消したいときと煮崩れを防止したいとき)だけみりんを使って、それ以外の場合はみりん風調味料を使った方が良いと思います。
5. みりん風調味料は健康面で問題ないか
過剰摂取をしなければ、問題ありません。
1章の一覧表でもお伝えしたように、みりん風調味料にはブドウ糖やグリシンなどの添加物が入っています。
ブドウ糖
ブドウ糖は血糖値を上げる働きがあるので、糖尿病の心配をする声があります。
もちろん血糖値を上げる働きがあるのはその通りです。しかしその働きは、起きたばかりの時や激しい運動で消耗した時などに、血糖値を上げて脳を活性化するのに必要な成分なのです。
グリシン
呼吸器系に麻痺を起こす可能性があるという声があります。
しかしグリシンはアミノ酸の一種で人の体内で作られる、つまり元々体内に存在する成分です。血液中で酸素を運ぶ機能や筋肉運動に必要な成分としても知られています。
どんな成分も過剰摂取をすれば悪影響が出ると思います。
要は、適量の摂取やバランスの良い食事が大切です。みりんには含まれていない添加物が含まれている、の1点で、みりん風調味料は一切使わないと考える必要はありません。
参照
ブドウ糖eヘルスネット(厚生労働省)
グリシンの正体 有機合成薬品工業株式会社
6. まとめ
いかがでしたか。
みりん風調味料は水あめなどの調味料を調合して短期間でみりんの味に近づけたものです。みりんとは違うものだと理解したうえで、しかし偽物だとして一切排除するのではなく、2章で紹介したような場合にはみりん風調味料を使ってみて下さい。家計の節約に多少なりとも役立つと思います。
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