皆さんは魚の旬がいつかご存じでしょうか?
この記事では、「魚の旬」を年間カレンダーにまとめました。このカレンダーを活かして、旬の魚で食卓を彩れるように参考にしてください。
基本的に、産卵期前の魚は栄養分と脂肪分を蓄えるため、美味しいです。例えば、産卵期が春であれば、その魚の旬は「冬」になります。「冬」に旬を迎える魚が多いのですが、これは「春」に産卵期を迎える魚が多いことと、もう一つ、冬になると海水の温度が下がるため、魚が自身を守るために、脂肪を備えるからです。
さらに、よくある質問と、旬の魚のおすすめの調理方法などについても紹介しています。
ぜひ旬の魚をもっと楽しめるために、ご一読してください。
1、魚の旬がわかる年間カレンダー
1-1,月別で魚の旬年間カレンダー
日本は海に囲まれ、一年中魚が捕れます。おいしい魚を食べるなら、やはり旬の時期に食べるのが一番です。それは、魚の脂乗りや身の締まりは旬によって変わるからです。
食材の旬には諸説あるため、ここでは一般的に旬と言われる時期を紹介します。
特に魚介類については地域による漁獲高の差などにより旬が明確でない場合もありますのでご了承ください。
1-2,季節別で旬の魚を楽しめます
1-2-1,3月~5月・春の魚
春が旬の魚は、程よく脂がのっています。それは、冬の寒さから身を守るために体の中に蓄えた脂肪が残っているためです。春こそ楽しめたい魚としては、春の季節のマダイとカツオです。春のマダイは、ホルモンの影響で桜色に染まり、「桜鯛」と呼ばれ、季節を楽しめる魚となります。カツオについて、春の終わり、夏の始める頃のカツオは、「初カツオ」と言い、赤身のうま味楽しめます。
1-2-2,6月~8月・夏の魚
夏の魚は、脂乗り少ないですが、高タンパク質、低カロリーの白身魚が多いです。特に、夏に脂がのるウナギやアナゴなどは、ビタミンなどの栄養分もたくさん持っていて、夏バテ予防になります。
1-2-3,9月~11月・秋の魚
秋の魚は脂がのって、コクのある青魚が多いです。秋に旬を迎える魚は産卵のために栄養分を蓄えており、これが旨味となってより美味しくなるのです。特に、青魚は魚脂に「DHA」や「EPA」と体に良い栄養素を豊富に含みます。さらに、この時期のカツオは、「戻りカツオ」と呼ばれ、「初カツオ」と比べ、食感が柔らかく、脂乗りが良いです。
1-2-4,12~2月・冬の魚
冬の魚は寒さが厳しくなるにつれて、脂も味ものり、身が締まって旨味が増してきます。「寒」をつけて呼ばれる魚は寒さが増す頃に身が締まりさらに美味しさが増します。特に、(寒)ブリ、(寒)ボラ、(寒)ビラメ、(寒)ブナ、(寒)ガキ、(寒)シジミなどがよく知られています。
1-3,年に2回旬がある魚
カツオ、ハモとウナギのように年に2回旬のある魚もいます。これは、魚の脂を楽しむか魚の身の本来の味を楽しむかによります。
カツオはこの例で一番よく知られており、夏始まり時の「初カツオ」と秋の「戻りカツオ」のように2回旬があります。この初カツオと戻りカツオは漁獲地が違います。春の末から初夏の初カツオは、餌を求めるために北へ移動していきます。魚肉は赤く、味はあっさりしています。一方、戻りカツオは秋に産卵の準備や冬越しのために暖かい南へ下ります。このカツオは脂がたっぷりのっており「トロカツオ」とも呼ばれます。「初カツオ」と比べ、もっちりした食感が特徴です。そのため、カツオの旬は4~5月と8月下旬から9月の下旬と言えます。
ハモは夏が始まりに、海水温度の上昇とともに活発な動きをしているため、身が引き締まっています。産卵のため、たくさんの餌を食べ、栄養分として貯めていきます。その時期は、うま味をより一層楽しむことが出来ます。そして、夏に産卵を終えると身が細くなりますが、秋になると、ハモが再度食欲旺盛な状態になり身に脂がのってきます。その時期のハモは、体表が金色を帯び、「金ハモ」とも呼ばれます。
1-4,1年中旬と言われる魚もあります
カレイとマグロは通年魚と言われています。それは、同じ魚種でも種類がたくさんあるからです。
例えばカレイは、世界中に100種類以上もおり、日本にも40種類くらい生息しています。北海道で獲れるアカガレイの旬は冬、クロガレイの旬は3月中旬〜4月下旬ごろとされています。さらに、食べ方によっても旬が変わってきます。たとえば、刺身にするなら夏が旬ともいわれる一方で、煮付けは子持ちの時期である冬が美味しいという話もあります。マグロ同じです。
2,旬の魚をおすすめする2つの理由
旬の魚をおすすめする理由は2つあります。1つ目は栄養価値が高いから。2つ目は、価額が安いからです。旬とは、食べ物が、最も味の良くたくさん取れる時期のことです。
2-1、栄養価値が高い
魚は、一般的に産卵前が最も美味しいと言われています。その理由は、魚は産卵するためにたくさんの栄養を蓄えているからです。特に、脂肪分を多く蓄えています。そのため、魚の「旬」とは、一般的に産卵前で身体に栄養や脂肪分がたっぷり蓄えている状態の魚のことを指し、この時期の魚は脂乗りが良く、食感も柔らかいです。
例えば、「頭の発達によい」のDHAや「血液をサラサラにする」EPAは脂肪に存在しているため、脂ののっている旬の時期に食べることがおすすめです。
2-2、価格が安い
魚は産卵するために、餌がたくさんある湾内へやってきて獲りやすくなり、その漁獲高も多くなります。たくさん取れた魚は、市場に多く出回り、お手頃な値段で新鮮な魚を購入できるようになります。
魚は沿岸に近づいてきて、藻場や岩礁帯に卵を産み付けます。沖に浮遊する流れ藻に卵を産み付ける魚や砂の中に産卵する魚もあります。地域や場所により少しズレがありますが、基本的に魚は海の真ん中では卵産みません。これは、産んだばかりの卵を外敵から守るためです。魚の産卵期を知ることで、効率よく魚を獲れます。
3、魚の旬に関するよくある質問とその回答
3-1、旬の時期に仕入れた魚を長期間冷凍しても美味しく食べられますか?
回答:長期間冷凍した旬の魚は、食べても安全面の問題ではないですが、美味しさが失われてしまいます。それは、冷凍焼けを起こすことがあるのです。
冷凍焼けとは、冷凍庫の開閉で温度差が生じ、その温度差で魚肉の水分が蒸発してしまい、乾燥することです。また、冷凍庫の開閉により、空気との触れ合いが多くなり、酸化が起きやすくなります。
特に、家庭の冷凍庫は、開け閉めが多く、一定の温度を保つことが難しいため、冷凍焼けが起きやすくなります。
魚を冷凍すると酸化や細菌の繁殖を抑えることができ、賞味期限を延ばすことは可能です。しかし、長い期間冷凍保存していると、ゆっくりと品質は劣化し、美味しさも失われてしまいます。また、解凍の仕方によって、水分やうま味成分が流失してしまい、魚肉がパサパサになってしまう事もあります。
3-2、旬の魚を美味しく食べるおすすめの調理方法はなんですか?
回答:魚によって調理方法が違います。白身魚、赤身魚と青魚を分類しておすすめ調理法を以下の表でまとめました。
・白身魚は、身の水分が逃がさないように衣をつけて、一気に加熱すると、旨味が凝縮でき、ふわふわの食感を楽しめますので、てんぷらやフライがおすすめです。代表的な魚はキス、フグ・アンコウなどがあります。
・赤身魚は、味がしっかりしていて癖があるですが、新鮮なうちにお刺身やカルパッチョにするがおすすめです。代表的な魚は、カツオ、マグロ、ブリ、サンマ、サバなどです。
・青魚については、実は、水産学上には分類がありません。赤魚のうち、背中が青い魚と分類しています。代表的な魚は、イワシ、アジ、サバ、サンマ、ニジンなどです。煮付けがおすすめです。煮込むことで、青魚特有のにおいを飛ばすことが出来ます。特に、旬の食材と一緒に煮込むことでさらに美味しくできます。例えば、ブリ大根です。ここで、青魚煮付け上手のコツとしては、煮すぎないように注意することです。煮すぎると、身が硬くなってしまいます。落とし蓋や入れるタイミングを利用して調節してください。
3-3、旬の魚はどうやって選べば良いですか?
回答:旬の魚は漁獲量が高いため、スーバーや市場に多く出回りしています。その中の新鮮なものを選びましょう。新鮮な魚を見分けるポイントは2つです。
ポイント1、魚の目を見る。新鮮な魚の目は透明感があり、黒目がはっきりしています。目に強いハリがあり、横側から見ると、飛び出しそうな感じがします。反対に、目の出っ張りがなく、全体的に白ぽっい、黒目が濁っている魚は避けましょう。
実は、この目の濁りを活用して、魚の鮮度を測定する装置も開発されています。具体的にはレーザ(市販のグリーンのレーザポインタに安定化電源を装着したものを使用)を魚の目に照射し,眼底から反射してくる光を計測することで,水晶体の濁り具合を計測するようです。
ポイント2、魚の身を触る。新鮮な魚は身がしまっており、弾力があります。鮮度の落ちている魚は、柔らかくなり、身が崩れていきます。魚肉は透明感を失い、白っぽくなります。
3-4、天然と養殖で旬に違いはありますか?
回答:養殖は人工的に成長や環境を作ることができるため、旬(食べごろ)の調整ができます。例えば、ウナギは天然ものの場合初冬が旬ですが、養殖の場合は土用の丑の日に合わせ夏ごろに多く出回るようになります。養殖技術進んでいる現在は、養殖ブリは、1年中旬と言え、程よい味と脂乗りで安定した味わいを楽しむこと事が出来ます。そのため、スーパーで「養殖」と書いてある物は、その魚の「旬」を示すではなく、その魚は旬の時期の味が保証され、個体差も少なく変わらない品質を保つことを意味しています。
3-5,水温によって旬は変わりますか?
回答:はい。地域によって水温が違います、そのため、同じ魚でも旬が違います。例えば、「さわら」は回遊魚で、旬は地域によります。関東では冬が旬、瀬戸内海では春が旬となります。
3-6,地域によって旬は変わりますか?
回答:はい。上記の回答のように、地域によって水温が違いますので、旬も変わることがあります。
3-7、そもそも魚の旬ってなんですか?
回答:魚の旬とは、魚の身のグリコーゲン、タンパク質や脂のりなどのバランスが一番バランス良い時期のことを指します。タンパク質が多いということは、アミノ酸が多く、うま味成分が多いことです。脂が多いと、食感が柔らかくて、味にコクがでます。
一般的に、魚は卵を産む前が一番美味しいと言われます。その理由は、産卵のために栄養(タンパク質や脂)を沢山蓄えているからです。また、産卵のために、魚が沿岸に近づいてきて、漁獲しやすくなり、漁獲量も増えます。そのため、魚の旬はその魚がたくさんとれる時期とも言われています。
例えば、春の卵を産む魚の旬は「冬」で、秋に産卵を迎える魚の旬は「夏」という事なります。
4、まとめ
旬の魚は栄養価が高いのに、より安い値段で入手できます。さらに、その季節に体に必要な成分を多く含まれています。例えば、冬に旬となる魚は、その脂ののりを楽しむことができ、冷えた体にエネルギーを補充して、体を温めていく作用もあります。
旬の魚の方がおいしく食べられるので、記事中に掲載した「魚の旬の年間カレンダー」と季節別の魚のまとめ、およびおすすめの調理法を紹介したので、ぜひ、活用して魚を美味しく食べてください。
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