どこよりも詳しく解説!鰹節の煮熟の基礎知識

「煮熟」ってなんて読むんだろう?

鰹節を作る工程の中に「煮熟」がありますが、なかなか見かけない言葉ですよね。

「煮熟」は「しゃじゅく」と読み、生の鰹を煮る工程です。

今回は「煮熟」の言葉の意味と鰹節を作るどういう工程なのか詳しく解説します。


1.「煮熟」の読み方と意味

「煮熟」は「しゃじゅく」と読みます。

日本語では「煮詰める」という意味です。

中国語にも煮熟という言葉があり、「煮込む」「茹で上がる」という意味があります。 

英語では「boil(煮る)」が煮熟と同じ意味を持ちます。

 

鰹節工場では次のような工程で鰹節(荒節)が作られます。

      生切り(なまぎり)

      煮熟(しゃじゅく)

      骨抜(ほねぬき)

      焙乾(ばいかん)

      あん蒸(あんじょう)

です。

 

「生切り」で鰹をさばき、「煮熟」で鰹を煮あげ、「骨抜き」で鰹の骨を取り、「焙乾」で乾燥させ、「あん蒸」で鰹を寝かせて芯の水分まで乾燥させます。

「焙乾」と「あん蒸」を何度も繰り返すことで、鰹の芯まで乾かし、世界一堅い食材と言われる鰹節が完成します。

 

鰹節工場での作り方をさらに詳しく知りたい方はぜひ次の記事を読んでみて下さい。

【手間と時間をかけたこだわりの鰹節の作り方】

【鰹節の作り方】生の鰹から堅い鰹節ができるまでの12の工程

 

 


2.「煮熟」の作業内容

鰹節を作る上で、生の鰹をさばいた後に「煮る」という工程がありますが、こちらを「煮熟」(しゃじゅく)と呼びます。

重ねられたセイロと呼ばれるカゴのような入れ物ごと、お湯の入った釜の中で鰹を煮ます。

 

煮熟時間(煮る時間)は鰹節を製造するメーカーや鰹のサイズ、季節によって多少違いがありますが、おおむね95℃以上100℃未満で1時間~2時間以上、じっくりと鰹の身の中まで煮ます。

小さいサイズの鰹は短時間で芯まで火が通りますが、大きいサイズの鰹は芯まで煮あがるのに時間がかかります。そして、寒い時期は煮る時間を延ばしたり、暑い時期は時間を短くしたりするなど工夫をします。

最も一般的な目安値は96℃で1時間30分前後ですが、先に申し上げたように鰹のサイズや季節により調整が必要になってきます。

鰹の状態を見ながら、ふっくらと芯までしっかり火が通った状態になるよう、鰹節職人の手によって調整され仕上げていきます。

また、煮熟ではお湯を沸騰させないことが重要です。

お湯を沸騰させてしまうと釜底から出る泡により、鰹の身が割れたり崩れたりしてしまいます。

これを防ぐために煮熟ではお湯を沸騰させないように調整します。

 

これらを踏まえて、さばいた生の鰹を煮る工程を「煮熟」(しゃじゅく)と呼びます。

セイロにさばいた鰹を並べる様子

さばいた鰹が入ったセイロが重ねられた様子

お湯が入った釜に重ねられたセイロごと、鰹を煮る様子

煮あがった鰹

 


3.煮熟の効果

煮熟には次の3つの効果があります。

①煮熟は生の鰹を煮沸殺菌することで腐敗を抑制する効果があります。

②煮熟をすることでたんぱく質を凝固させ、鰹の身を固め、次の工程である焙乾(ばいかん)※1で乾燥させやすくする効果があります。

③煮熟によりたんぱく質を凝固させることで、鰹の余分な水分と臭みを出し、鰹の身の中にうま味を閉じ込める効果があります。

そのため、煮熟は鰹の腐敗を抑え、乾燥させやすくし、うま味を閉じ込めるという乾物に加工するために必要な効果があり、重要な工程のひとつです。

1「焙乾(ばいかん)」・・・薪を燃やし、煙と熱で煮た鰹を乾燥させる工程

 

「焙乾(ばいかん)」をさらに詳しく知りたい方はぜひ次の記事を読んでみて下さい。

【鰹節を燻製する焙乾とは、焼津式を含む3つの焙乾方法を徹底解説】

https://www.kobayashi-foods.co.jp/washoku-no-umami/dried-bonito-flavor

 


まとめ

今回は「煮熟」について解説しました。

「煮熟」は「しゃじゅく」と読み、鰹の腐敗を抑え、乾燥させやすくし、うま味を閉じ込めるという効果があります。

「煮熟」は鰹節を作る上でなくてはならない重要な工程のひとつです。

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