あなたは和食を食べる時にスパイスを使っていますか。
スパイスと言えば本格的なカレーで使うか
洋食や中華で辛い料理に使われている
それぐらいで和食には使わないのでは…
そう思われた方も多いのではないでしょうか。
実は和食でもスパイスは大活躍をしています。
食品の調理のために用いる芳香性と刺激性を持った植物を香辛料と呼び
日本においてスパイスの定義は香辛料の中でも
利用部位として茎と葉と花を除く物
とされています。
スパイス以外の香辛料はハーブに分類されます。
この定義に当てはめると、唐辛子や胡椒はもちろん
生姜やわさびなどもスパイスという事になります。
こうやって聞くとスパイスは意外と和食で使われている、そう思いませんか。
スパイスはたくさん種類がありますが
今回は和食で大活躍する、
和食に欠かせないスパイスを5種類選びました。
皆さんが良く知る物ですが、
どんなスパイスで一体どんな料理に合うのか紹介します。
目次
1.和食におけるスパイスとは?
スパイスは料理に香りづけをしたり、臭み消しをしたり、風味や見た目をより良い物にする為に使われます。
スパイスと言われると、和食とは無縁のように思えるかもしれませんが、
意外と多くの種類があります。
香辛料と言えば、より和食と身近な物に感じますね。
1-1.日本におけるスパイスの定義
厳密な定義は難しいのですが、日本においてスパイスの定義は
香辛料のうち利用部位として茎と葉と花を除くものの総称
と定義をしています。
具体的に例を挙げると
・唐辛子
・にんにく
・生姜
・胡椒
・パプリカ
・シナモン
・オールスパイス
などが、スパイスに分類されます。
唐辛子や生姜などは和食でもよく使いますね。
1-2.スパイスと似ている?日本におけるハーブの定義
スパイスに近い存在としてハーブがあります。
日本においてハーブの定義は
香辛料のうち茎と葉と花を利用するものの総称
と定義をしています。
具体的に例を挙げると
・ミョウガ
・レモングラス
・しそ
・ニラ
・オレガノ
・ローズマリー
などがハーブに分類されます。
よく見る香草類が名を連ねていますね。
2.和食で欠かせないスパイス5選
スパイスにはたくさんの種類がありますが、
和食でよく使われる5種類を紹介します。
2-1.ピリリとした刺激と爽やかさが素敵な山椒
まず一つ目のスパイスは、日本原産であるミカン科植物の山椒(さんしょう)です。
その歴史は古く、縄文時代の山椒が入った土器が出土していることから
日本最古のスパイスと呼ばれることもあるそうです。
スパイスの特徴としては、なんと言ってもピリリと痺れるような刺激ある辛さでしょう。
辛さの正体は「サンショオール」という成分で、消化不良や食欲減退の改善が期待できます。
味を引き立てるだけでなく、食にまつわる問題を解決してくれる山椒は
まさにスパイスの鑑と言えるのではないでしょうか。
そんな山椒に合う和食と言えば…
・うなぎの蒲焼…王道ですね。粉山椒を掛けてサッパリ最後まで美味しく
・鶏の山賊焼き…信州地方の郷土料理。漬けタレに混ぜて風味のアクセントに
・味噌田楽…豆腐や茄子にたっぷりと掛けていただく。味噌と山椒の相性は抜群!
・親子丼…辛いのが苦手な方に試して欲しい。卵が辛みをまろやかにして香りを楽しめる
・きんぴらごぼう…味付けのアクセントにどうぞ。ひき肉を入れても美味しいです
・きゅうりの浅漬け…ほんのひとつまみ振りかけると、鼻をスッと抜けて爽やかです
山椒と言えば、うなぎ!と思いつく方は多いでしょう。
それ以外にも、脂の多いお肉料理をサッパリさせたい時や
お味噌やお醤油との相性も抜群で、味にアクセントを付けたい時
辛いのが苦手な方は卵と合せて、香りを楽しむ。
そんな色々な使い方が楽しめます!
コラム:捨てるところがない?バリエーション豊かな山椒の使い道
今回はスパイスとして、山椒の実の皮部分を使った粉山椒に注目しましたが、
実は山椒は全ての部分が食事に利用されているのです。
まず、3~4月に出回る若葉は「木の芽」と呼ばれ、
お吸い物の吸口などに使われその香りが楽しまれます。
4~5月頃には黄色い花「花山椒」が佃煮などに使われます。
その後の青い実は「実山椒・青山椒」と呼ばれ丸ごと使ってちりめん山椒などに使われます。
熟した実の皮は粉末にして粉山椒にして、うなぎの蒲焼などに振りかけます。
そして食べるだけでなく、すりごまを作る時に使われる「すりこ木」にも
山椒の木がよく使われているそうです。
本当に捨てる所がありませんね!
2-2.夏サッパリ冬はぽかぽか大活躍の生姜
2番目に紹介するのは生姜です。生姜は2~3世紀ごろに中国から伝来したと言われ、
古くから日本で親しまれてきました。
生姜はスパイスとしても優秀で、鼻腔を刺激する爽やかな香りやシャープな辛みは
肉や魚料理の臭み消しにもってこいです。
煮物や臭みの強い食材を使った料理に、とりあえず薄くスライスした生姜を入れる
これだけでも、臭みを抑えて食べやすくしてくれます。
生の生姜には「ジンゲロール」という成分が多く含まれていて、強い殺菌作用の他に解熱作用などが期待できます。
生姜を熱すると先程のジンゲロールが「ショウガオール」という成分に変わります。
こちらは身体を芯から暖めてくれる効果があります。
そんな生姜に合う和食と言えば…
・豚の生姜焼き…言わずと知れた王道の組み合わせ。生姜の分解酵素でお肉も柔らかくなります
・カレイの煮付け…煮魚に一番合います。スライスを入れると臭みを軽減してくれます。
・さばの味噌煮…臭み消しに最適。千切りにして入れれば一緒に食べて味と食感のアクセントに
・鶏のから揚げ…醬油ダレにおろし生姜を入れて揉み込みましょう。
・アジのなめろう…一緒に刻んで入れてもヨシ!おろし生姜を乗せて食べてもヨシ!抜群の組み合わせ
・寄せ鍋…寒い冬に食べたい一品!生姜パワーで身体の中からぽかぽかに
・生姜の佃煮…スパイスとしてではなくメインでも大活躍!白ご飯が止まりません!
煮魚には困ったらとりあえず生姜を入れればよい。
と言っても過言でないくらいに合います。
魚の臭み消しに最適なのはもちろん、
お鍋に入れて、身体の芯から温まりたい方にもおすすめです。
スパイスとしての役割だけでなく、生姜自体を食べて楽しめる。
そんな所も生姜の魅力だと思います。
生姜についてもっと知りたいという方はこちらの記事もどうぞ!
生姜を毎日食べることは、良いの?悪いの?その疑問にお答えします!
コラム:これはナニモノ?和食で見かける「はじかみ生姜」
焼き魚の上などに、紅色と白色が混じった色をした細長い物体が載っているのを見た事がありませんか?
あれは「はじかみ生姜」と言って、生姜の一種である金時生姜を甘酢漬けにしたものです。
はじかみ生姜は口直し用に添えてある物で、
同じお皿に載っているメインの料理(焼き魚なら魚)を食べ終わってから、
白っぽい部分だけを食べましょう。紅色の部分は茎なのですが硬くて食べられません。
2-3.実は2種類ある?ツンと香るわさび
3番目に紹介するのはわさびです。
よく目にするわさびですが、大きく分けて2種類あることはご存知でしょうか。
↑の写真は本わさびと言って原産地は東洋で、静岡県や長野県で多く栽培されています。
もう1種類は西洋わさび(ホースラディッシュ)と言って、
原産が東ヨーロッパ、北海道で盛んに栽培されており
↑の写真のように白っぽい見た目が特徴です。山わさびとも呼ばれます。
成分などに若干の違いはありますが
どちらも鼻をツンと抜けるような辛みが特徴で、
本わさびの方がシャープな辛みで、
西洋わさびは若干大根のような風味がします。
わさびの辛み成分「アリルイソチオシアネート」には強い殺菌・抗菌作用があり
刺身と一緒によく食べるのは、寄生虫や食中毒のリスクを軽減する為です。
そんなわさびに合う和食と言えば…
・わさび漬け…静岡の郷土料理。温かいご飯に乗っけても美味しい
・長芋のわさび醤油漬け…ごはんのおかずにも、お酒のおつまみにも
・茄子の揚げびたし…だし汁とわさびの風味が口いっぱいに広がります。
・だし巻き卵…大根おろしと一緒にどうぞ。爽やかな味わいに早変わりです
・牡蠣の酒蒸し…わさび醤油もしくはわさびポン酢でいただきましょう
・鰤の照り焼き…鰤の甘みのある脂とピリッとしたわさびの辛みは相性抜群
わさびは万能スパイスで、お皿の端にちょっと用意するだけで
大活躍すること間違いなしです。
メインの料理に合わせる事も多いですが、
お酒のおつまみとして好まれる料理や食材との相性が抜群です。
夏の時期には、食中毒対策としても常用したいですね。
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コラム:練りわさびはほとんどが西洋わさび?
スーパーで売っている練りわさびは、実はその中身のほとんどが西洋わさびなのです。
白色をした西洋わさびに緑色の本わさびを混ぜることで、鮮やかな緑色をしています。
本わさびが半分以上入っていると「本わさび使用」
半分も入っていないと「本わさび入り」と表示するそうです。
2-4.入れるだけで料理が上品になる柚子
4つ目に紹介するのは柑橘類の仲間「柚子」です。
原産地は中国ですが、現在は四国を中心に日本でも様々な品種が育てられています。
スパイスと聞くと、カレーに使われるような辛い香辛料をイメージしがちですが
柚子も古くから調味料として親しまれてきました。
特徴はやはり柑橘類特有の爽やかな香りと、皮を使用する場合は色鮮やかな黄色と
若干の苦みがある味わいをアクセントに活かします。
柚子の良い香りに含まれる様々な香り成分は、抗菌作用やリラックス効果も期待できます。
そんな柚子と合う和食と言えば…
・紅白なます…大根と人参で作ったなますに柚子皮をトッピング。柚子の酸味がよく合い見た目も華やか
・ふろふき大根…柚子皮を刻んで大根の上に乗せる。柚子の爽やかな香りが食欲促進
・お吸い物…刻んだ柚子皮を少し入れると、非常に爽やかな香りが楽しめます
・冷製豚しゃぶ…柚子胡椒をポン酢やごま油と混ぜてタレにして食べてみてください
・鯖の塩焼き…柚子胡椒を脂の乗った鯖の塩焼きと一緒に
柚子は皮を料理に利用する事が多く、
見た目が地味な料理に2、3切れ添えるだけで見た目にも華やかで
柚子の爽やかな香りが楽しめます。
あまり入れすぎると苦くなってしまうので、
乗せる量には注意が必要です。
また九州地方で盛んに使われている柚子胡椒は
お肉料理や和え物で大活躍です。
柚子皮を使った料理の飾り方の一例はこちら!
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コラム:柚子胡椒はコショウではない?
よく勘違いをされがちですが、柚子胡椒にはコショウは使われていません。
使われるのは唐辛子です。柚子胡椒の発祥の地とされている九州地方では
方言で唐辛子の事を「こしょう」と呼んでいた為にこの名前になったとか。
青唐辛子、赤唐辛子を使った物があり、それぞれ合う料理が違うようです。
2-5.あなたの好みは一味?七味?ホットな唐辛子
最後のスパイスは唐辛子です。
様々な説がありますが16世紀~17世紀頃にヨーロッパから日本に入ってきたとされます。
唐とついているので、中国王朝の唐から入ってきたと思われがちですが、
唐とは外国の事を指していたので違います。
唐辛子は様々な使い方がされていて、韓国料理で良く使われる細く切って使う糸切り唐辛子に、
漬物などで良く見かける輪切り唐辛子、粉末にした一味唐辛子や、
山椒や陳皮、青のりにごま、麻の実にケシの実など7種類のスパイスを混ぜ合わせた七味唐辛子など、多様です。
唐辛子の特徴は何と言っても、身体がワッと熱く火照る辛さでしょう。
辛さの正体は「カプサイシン」血行・血流を良くすることで身体を温めてくれます。
そんな唐辛子に合う和食と言えば…
・あじの南蛮漬け…輪切り唐辛子を入れましょう。甘みのある酢漬けにピリッとアクセント
・豚汁…一味でも七味でもお好みでどうぞ。味がまとまります
・レンコンのきんぴら…輪切り唐辛子の辛みがシャキシャキのレンコンと良く合います
・鶏の水炊き…2、3杯目の味を変えたい時に七味唐辛子をどうぞ
・肉じゃが…七味唐辛子を掛ければ、より深い味わいに
・タラ鍋…大根と一緒におろしたもみじおろしを添えて
粉末タイプの唐辛子特に七味唐辛子は
日本の食卓には欠かせないスパイスで、うどんやそば味噌ラーメンなどの麺類で大活躍します。
ほかにも輪切りの唐辛子はらっきょう漬けなどにも入っていて
辛いだけではなく、味に深みをもたせてくれます。
単に唐辛子と言っても使われている種類によって
辛さや味わいが大きく異なるので、
自分好みの唐辛子を見つけるのも楽しいかもしれませんね!
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コラム:七味唐辛子の基本は二辛五香(にしんごこう)
七味唐辛子はその名の通り、7種類のスパイスから成り立っていますが
その中身や配合は地域や店によって様々です。
しかし基本は決まっており、唐辛子や山椒といった2種類の辛い物(二辛)と
陳皮、青のりにごま、麻の実にケシの実といった5種類の香る物(五香)から出来ています。
ひとつ前に紹介した柚子皮が五香に使われる事もあります。
3.まとめ
和食でスパイスと聞くといまいちピンと来なかったかもしれませんが
普段よく使うものがたくさんあることが分かったかと思います。
今回紹介したスパイス・合う和食はあくまでほんの一例です。
色々なスパイスを取り揃えて、自分なりの楽しみ方を探してみてください。
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