そばつゆとめんつゆの違い|削り節職人が教える簡単なアレンジ方法

「そばつゆとめんつゆって何か違いがあるの?」

家でめんつゆを使ってお蕎麦を食べている時、もう少し味に変化が欲しいと思うことはありませんか?つゆにはお蕎麦向け、麺類全般向けと種類が分かれており、それぞれつゆに入っているみりん、砂糖、だしの量が違い、味わいが異なります。

例えばお蕎麦には「めんつゆ」ではなく「そばつゆ」と呼ばれる味も色味も濃い目に作られているものが合います。

今回はお蕎麦に特化した専用のつゆである「そばつゆ」と、麺類全般向けの「めんつゆ」についてご紹介していきます。

この記事を読んで、ぜひそれぞれに合ったつゆを使ってみて下さい。


1.「そばつゆ」と「めんつゆ」の違い

「つゆ」とは、醤油・みりん・砂糖を混ぜた「かえし」と呼ばれる調味料に、削り節からとった「だし」を入れて作られます。

その中でも、「そばつゆ」はお蕎麦に特化した専用のつゆで、「めんつゆ」はそうめん、うどん、ひやむぎなどの麺類全般向けに作られたつゆになります。

「そばつゆ」と「めんつゆ」の大きな違いは

① かえしを作る際の醤油に対して入れる「みりんと砂糖の分量」
② かえしに入れる「だしの分量」

の2点です。

1-1.そばつゆ

「そばつゆ」は、お蕎麦に合うように作られたお蕎麦専用のつゆです。そのため、「めんつゆ」と比べ、かえしに入れるみりんと砂糖の量が多く、入れるだしの量は少なめです。味わいは、やや甘く塩辛く濃い目の味付けで作られているのが特徴です。

これには3つの意図があります。

  • お蕎麦の風味につゆが負けないように
  • つゆが絡みにくい麺であるお蕎麦でもつゆの味をしっかり楽しめるように
  • つゆを少量しかつけないという食べ方をする冷たいお蕎麦でもお蕎麦の風味とつゆの味のバランスが取れるように

という理由で、「そばつゆ」はやや甘く塩辛く濃い目の味付けになっています。

1-2.めんつゆ

「めんつゆ」は、そうめん、うどん、ひやむぎなどの麺類全般向けのつゆです。

そのため、「そばつゆ」と比べ、かえしに入れるみりんと砂糖の量が少なく、入れるだしの量は多めです。味わいは、甘さや塩辛さは控えめですが、だしが強く効いている傾向にあります。

これはそうめん、うどん、ひやむぎなどの麺類は麺をつゆにしっかりつけて食べることと、つゆが比較的麺に絡みやすいことが想定されているため、濃すぎないようにちょうどよいバランスで調整されているからです。

「めんつゆ」はそうめん、うどん、ひやむぎなどの麺類全般向けでどちらかと言うと薄味のつゆなので、風味が強くてつゆが絡みにくく、つゆを少量しかつけないお蕎麦には物足りなさを感じるかも知れません。


2.おいしい「そばつゆ」の作り方

おいしいそばつゆを作るには、「かえし」と「混合削り節のだし」がおススメです。
※次のレシピはつゆを作る時、約5人分に相当するかえしの分量でご紹介します。

① かえしを作る

今回は「本かえし」と呼ばれる作り方のかえしの調理方法をご紹介します。
材料の配合比率は「濃口醤油:砂糖:本みりん=5:1:1」ですが、これは「そばつゆ」に合った甘さと塩辛さを備えた「お蕎麦向けのかえし」を作るためのおススメの比率です。

(1)濃口醤油100ml、砂糖20g、本みりん20mlを準備します。

かえしの基本比率は下記の通りです。

★濃口醤油:砂糖:本みりん=5:1:1★

(2)鍋に濃口醤油100mlを入れ、弱火~中火で温めます。

※この際醤油は沸騰させず、80℃程度に温めて下さい。

(3)温まった醤油に砂糖20gを入れて砂糖が溶けるまでゆっくりとかき混ぜます。

(4)温まった醤油に砂糖を溶かしたものに本みりん20mlを入れてゆっくりとかき混ぜます。

(5)全ての材料がよく混ざったら弱火にし、5分加熱させたら完成です。

このかえしは完成後すぐに料理に使用しても大丈夫ですが、おススメは完成したかえしを1~2週間寝かして熟成させることです。

かえしを熟成させると、完成直後より醤油の角が取れまろやかな一体感のあるかえしになります。熟成は、かえしを冷蔵庫で1~2週間保管するだけです。

作ったかえしは、かえしの作り方(5)の完成から1ヶ月以内に使い切る様にして下さい。

② 混合削り節のだしを取る

今回はそばつゆに最もおススメな「カツオ×宗田鰹×サバ」の混合削り節のだしを使用します。

「カツオ×宗田鰹×サバ」の混合削り節のだしは、カツオから取れた香りの良いだしの味に、血合いが多くてあと味がしっかり残る宗田鰹、鯖の独特の甘さを感じる香りとコクを合わせたお蕎麦にぴったりなおいしいだしがとれます。

「小林食品株式会社 混合中厚削」

(1)水1000mlに対し、混合削り節40gを用意します。

(2)鍋に水1000mlを入れ沸騰させます。

【ポイント】
沸騰の具合はグラグラと煮たてるのではなく、気泡がポコポコ湧いている状態が目安です。

(3)沸騰したら弱火にし、沸騰具合を整えてから混合削り節を鍋に入れ、気泡がポコポコ湧いている状態で15分~20分煮出します。

【ポイント】
混合削り節が鍋からはみ出してしまう場合は、ちぎってしっかりお湯につかる様にして下さい。
この際に混合削り節を混ぜたり、しぼったりすると苦みや生臭さが出てしまうので、触らないでそのまま置いておくことが大切です。
また、鍋のフタをすると魚の生臭さを閉じ込めてしまうので、フタはしないで下さい。

(4)だしが取れたら上澄みをお玉ですくって使用します。

混合削り節は鍋底に沈みますが、ザルにキッチンペーパーを敷き、だしを濾して使用してもかまいません。

【ポイント】
ここでも混合削り節をしぼってはいけません。
キッチンペーパーで濾す際はコーヒーをドリップする時のようにゆっくり濾すことが重要です。

③ かえしとだしを合わせる

かえしとだしは次の比率で合わせます。

〔温かいそばつゆ〕かえし1:だし8
〔冷たいそばつゆ〕かえし1:だし3

〔温かいそばつゆ〕は、つゆの中にお蕎麦がしっかりつかるため、お蕎麦向けのかえしにだしを多めに入れます。
〔冷たいそばつゆ〕は、つゆを麺に少しつけて食べるので、温かいそばつゆに比べてつゆを濃くするために、だしは少なめに入れます。

【合わせて読みたいおススメのコンテンツ】
※かえし
※混合削り節


3.めんつゆのアレンジ

市販のめんつゆで物足りない方には次のレシピでアレンジすることをおススメします。

3-1.だしで希釈してだしの香りが一層楽しめる「めんつゆ」

いつも水で希釈している所を「だし」に変えるだけのお手軽なアレンジです。例えば、「めんつゆ1:水3」と書かれた市販のめんつゆには、「めんつゆ1」に対して、水ではなく、「だし3」を入れて希釈します。
水で希釈する物より、だしの香りと味わいでつゆの深みが全然違います。

【合わせて読みたいおススメのコンテンツ】
※だし 取り方

3-2.みりんとだしを追加してめんつゆを「そばつゆ」に

市販のめんつゆを「そばつゆ」にアレンジする方法です。市販のめんつゆに「みりん」を加え、「だし」で希釈します。

「そばつゆ」にアレンジするには、だしは「混合削り節のだし」がおススメです。

【分量】
・市販のめんつゆ 100cc
・みりん 50cc
・混合削り節のだし
〔温かいそばつゆ〕1000cc
〔冷たいそばつゆ〕400cc

(1) 市販のめんつゆ100ccを鍋で温め、みりん50ccを入れてかき混ぜる。
(2) 市販のめんつゆとみりんを混ぜた物に混合削り節のだしを入れて希釈する。

温かいそばつゆには1000cc、冷たいそばつゆには400cc入れて希釈します。
※冷たいそばつゆを作る場合は冷蔵庫で冷やしてから召し上がって下さい。
氷を入れて冷やすとつゆが薄くなってしまいますので、ご注意下さい。


4.濃縮タイプの「めんつゆ」の正しい希釈方法

「〇:〇」の割合で表記されているつゆは、簡単に計算して希釈できますが、「〇倍濃縮タイプ」と書かれたつゆは混乱してしまうこともあるかもしれません。

誤って希釈してしまうとおいしくないと感じてしまう可能性もあります。そこで、濃縮タイプの「めんつゆ」の正しい希釈方法をご紹介します。

計算が面倒な方は、上記の「濃縮タイプのめんつゆ希釈早見表」を参考にして下さい。

濃縮タイプのめんつゆは次の計算式に当てはめると希釈する水の量がわかります。おいしくアレンジするには、水をだしに変えて希釈することをおススメします。

つまり、「2倍濃縮タイプのめんつゆを100cc使う場合」は
使用する濃縮タイプのめんつゆの量が100ccに対して、2倍濃縮なので

① 100cc〔濃縮タイプのめんつゆの量〕 × 2倍〔〇倍〕 =200cc〔出来上がりの量〕

となり、
200ccが「出来上がりの量」になります。

そして、
② 200cc〔出来上がりの量〕 - 100cc〔濃縮タイプのめんつゆの量〕=100cc〔希釈する水(だし)の量〕

となるので、
濃縮タイプのめんつゆの量が100ccに対して、100ccの水(だし)を入れます。

この際に水ではなく、だしを使うことでだしの風味やコクが加わり、一味違ったつゆが完成します。


まとめ

「そばつゆ」と「めんつゆ」の大きな違いはかえしを作る際の醤油に対して入れる「みりんと砂糖の分量」
とかえしに入れる「だしの分量」です。

家庭でもみりんやだしを加えることで、市販のめんつゆを簡単に「そばつゆ」にアレンジしたり、だしを加えてよりおいしい「めんつゆ」にできたりしますので、ぜひ一味違ったおいしいおつゆを作ってみて下さい。

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